博士号って何?どうやって取る?博士本人が分かりやすく解説

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知り合いが「博士号を取った」と言っていた、ニュースで「博士号を持つ研究者」と出てきた。そんなときに「そもそも博士号って何だろう?」と気になった人向けの記事です。自分で取りたい人向けではなく、知らない人向けの基礎解説 として書きました。博士号を取った僕(clameyes)の視点で、できるだけ専門用語を避けて説明します。

「自分で博士号を取りたい」「期間や費用を知りたい」という人向けには、別途記事を立てる予定です。本記事は知らない人向けの位置づけです。

「博士」の読み方は2つある

最初に小ネタですが、「博士」という漢字には2つの読み方があります[1]

  • はかせ — 何かに詳しい人を指す日常的な呼び方(「昆虫はかせ」など)
  • はくし — 大学が授与する正式な学位名

子どもの頃に「○○はかせ」と呼んでいた知識豊富な人と、大学が学位として授与する「博士(はくし)」は、実は別ものです。読み方の違いは公式に決まっているわけではなく気にしすぎる必要はありませんが、博士号を持つ人について話すときは「はくし」と読むのが一般的です。

この記事ではこれ以降、学位の方の意味で「博士」を使います。

博士号って何?

ひとことで言うと 「博士号は、大学が授与する学位の1つ」 です。

「学位(がくい)」というのは、大学などの教育機関が「あなたはこの分野について十分な学習や研究をしました」と認めて与える資格のことです。日本には大きく3つの学位があります。

  • 学士(がくし) — いわゆる4年制の大学を卒業した人がもらう学位
  • 修士(しゅうし) — 大学を出た後にさらに「大学院」に2年通ってもらう学位
  • 博士(はくし) — 修士の後にさらに3年通って研究を発表してもらう学位

このうちの一番上が博士号、というイメージです。たとえるなら、ゲームのキャラクターのレベルが「学士<修士<博士」と上がっていく感じです。

ちなみに大学院の修士課程を「博士前期課程」、博士課程を「博士後期課程」と呼ぶ大学もあります。

博士号を取る3つの方法

博士号を取るには大きく3つの方法があります。共通して必要なのは「研究をして、その成果を 博士論文 として大学に認めてもらう」ことです。論文(ろんぶん)は研究結果をまとめた長い文章のことで、博士号取得用のものは特に長くなります(数十ページから数百ページに及ぶこともあります)。

課程博士 - 大学院に通って取る

一番王道のパターンです。大学院の博士課程(博士後期課程と呼ぶ場合もあります)に進学して、3年ほどかけて研究をして博士論文を書きます。

このように決まったカリキュラムで取る博士号を 「課程博士(かていはくし)」 と呼びます。博士号を持っている人のほとんどはこの形で取得しています。僕もこのパターンです。

社会人博士 - 働きながら大学院に通う

最近は企業の研究職などで博士号が求められることが増えてきたため、働きながら通える社会人向けプログラム を持つ大学があります。これも分類上は課程博士ですが、平日昼間にフル参加するわけにはいかないので、夜間や土日中心のカリキュラムになっていたりします。

僕の研究室にも社会人博士の人がいましたが、仕事終わりに夜8時から実験しに来たり、土日に研究室に来たりしていて、休みがほとんどなさそうでした。

論文博士 - 論文だけで取る(日本独自)

3つめは 大学院に在籍せず、自分で書いた論文を大学に提出して認めてもらう 方法です。これを 「論文博士(ろんぶんはくし)」 と呼びます。

主に企業の研究者が、勤務先で行った研究を論文としてまとめて大学に提出するパターンです。大学に通わなくていいので時間的には楽ですが、要求される研究の質が高く、受け入れてくれる大学・研究室が必要なので、ハードルは高めです。

論文博士は 日本独自の制度 で、海外の大学にはありません。最近では論文博士を廃止する大学が増えてきています。理由としては、企業で書く論文は多くの人が共著者として関わっていて「本当に本人が中心になって研究したか」が論文だけでは分からない、という問題があるためです。

名誉博士 - 別物として扱われる

「名誉博士(めいよはくし)」という呼ばれ方をする人もいますが、これは 上で説明した博士号とは別もの です。研究や論文の審査ではなく、大学が功績を讃えて贈る称号 です。

名誉博士は次のような人に贈られることが多いです。

  • 国家元首、皇族・王族
  • 政治家、外交官
  • 著名な文化人、芸術家
  • 大学に多大な貢献をした実業家

例えば松下電器(現パナソニック)の創業者である松下幸之助は、同志社大学・慶應義塾大学・早稲田大学から名誉博士を授与されています。

混同されがちですが、名誉博士は研究実績で取得するものではないので、本来の「博士号」とは別カテゴリと理解しておくと正しいです。

博士論文はどこで読める?

博士論文は基本的に 国立国会図書館 に蔵書されていて、誰でも探せます。具体的な調べ方は国立国会図書館のページが参考になります(オンライン閲覧は会員登録が必要)。

ある論文が「論文博士」として取得されたかを調べたい場合

国立国会図書館のページでは、その論文が課程博士か論文博士かは明示されていません。各大学のホームページで公表されている博士論文一覧を見ると、両者を分けて記載しているところもあります。例として東京医科歯科大学のページでは課程博士と論文博士を分けて掲載しています。

まとめ

博士号は「大学が授与する学位の1つで、研究をして博士論文を書くと取れる」もの。取り方は 課程博士 (大学院に進学)、社会人博士 (働きながら通学)、論文博士 (論文だけ提出)の3つ。名誉博士 は別カテゴリで、研究成果ではなく功績への称号。

「博士」の読みは「はくし」「はかせ」の2通りですが、学位の話では「はくし」と読むのが普通です。

「これから博士号を取りたい人」へ

本記事は 博士号について知らない人向け の基礎解説でした。実際に取得を目指したい方は、期間・費用・奨学金(学振)・進路選択といった別の情報が必要になります。

取得希望者向けの記事を別途用意しました。続けて読んでみてください。

博士号を取りたい人へ - 期間・費用・奨学金と3つの取得方法

参考文献

脚注
  1. 「博士」ということばは、ハクシとハカセ、どちらが正しい読み方なのですか? - 漢字文化資料館 (2026-05-10 アクセス) ↩︎